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偽りの教え2: 悪人は地獄で苦しむ

偽りの教え2: 悪人は地獄で苦しむ

この偽りの教えはどのようにして生まれたか。

「古代ギリシャの哲学者たちのうちで,伝統的な地獄観に最大の影響を及ぼしたのはプラトンである」。―「地獄の歴史」(フランス語),ジョルジュ・ミノワ著,50ページ。

「西暦2世紀の半ば以降,多少ともギリシャ哲学を学んだクリスチャンたちは,その哲学の用語で自分たちの信仰を言い表わす必要を感じるようになった。……彼らに最もよく合った哲学はプラトン主義[プラトンの教え]だった」。―「新ブリタニカ百科事典」(1988年版),第25巻,890ページ。

「教会は,地獄の存在とその永遠性とを教えています。大罪を犯したまま死ぬ人々の霊魂は,死後直ちに地獄に落ち,そこで,地獄の苦しみ,『永遠の火』に耐えなければなりません。……地獄の苦しみの中心となるのは,この神との決別の状態が永遠に続くということなのです」。―「カトリック教会のカテキズム」,日本カトリック司教協議会教理委員会 訳・監修,311ページ。

聖書は何と述べているか。

「生きているものは,少なくとも知っている 自分はやがて死ぬ,ということを。しかし,死者はもう何ひとつ知らない。……いつかは行かなければならないあの陰府には 仕事も企ても,知恵も知識も,もうないのだ」。―伝道の書(コヘレトの言葉)9:5,10,「新共同訳」,共同訳聖書実行委員会。

ここで「陰府」と訳されているヘブライ語はシェオルで,「死者のいるところ」を指し,幾つかの聖書では「地獄」と訳されています。この聖句から,死者の状態について何が分かるでしょうか。死者は自分の過ちを償うためにシェオルで苦しんでいますか。いいえ,死者は「何ひとつ知らない」のですから,そのようなことはありません。だからこそ,ひどい病気で大いに苦しんでいた族長ヨブは神に,「どうか,わたしを陰府[ヘブライ語,シェオル]に隠してください」と嘆願しました。(ヨブ 14:13,「新共同訳」)もしシェオルが永遠の責め苦の場所であったなら,ヨブはそう願ったりはしなかったでしょう。聖書的な意味では,地獄とは人類共通の墓であり,すべての活動が停止した場所です。

地獄に関するこの説明は,筋が通っており,聖書と調和しているのではないでしょうか。どんな大罪を犯した人であれ,愛の神によって永久に責めさいなまれるなどとは考えられません。(ヨハネ第一 4:8)では,火の燃える地獄の教えが偽りであるのなら,天についての教えはどうでしょうか。

次の聖句もご覧ください: 詩編 146:3,4。使徒 2:25-27。ローマ 6:7,23

事実:

神は地獄で人を罰したりはされない