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どうしてうちの親は遊びに行かせてくれないのだろう

どうしてうちの親は遊びに行かせてくれないのだろう

37章

どうしてうちの親は遊びに行かせてくれないのだろう

オーストラリアの高校生アリソンにとって,月曜日は学校に行くのが憂うつです。

「みんな,週末に何をしたか話すんです。パーティーに行ったとか,男の子とキスしたとか,わくわくするような話ばかりです。警察に追いかけられた子もいて,怖いところもあるけど楽しそうです。みんなは朝5時に家に帰っても,親から何も言われません。わたしは,みんなが遊び始める時間にもう寝てなきゃいけないんです。

「自分たちが週末にしたことを話し終わると,今度はわたしに聞いてきます。わたしは,クリスチャンの集会に行って,伝道をしただけです。面白いことは特にありませんでした。それでたいてい,『何もしなかった』と答えます。すると,『一緒に来ればよかったのに』と言われます。

「月曜日が過ぎればましになるかと言うと,そうじゃありません。火曜日には,みんなもう次の週末の話で盛り上がっています。わたしはただ座って聞いてるだけです。すごく取り残された気分になります」。

あなたも学校でそういう気持ちになりますか。『外の世界には楽しいことがたくさんあるのに,親が行かせてくれない』と感じますか。遊園地にいるのに乗り物に全く乗せてもらえないような気持ちでしょうか。『何でも友達と同じようにしたいわけじゃないけど,たまには遊びに行きたい!』と思うかもしれません。例えば,今度の週末にあなたが一番したいのはどれですか。

❏ 友達とショッピング

❏ カラオケに行く

❏ コンサートに行く

❏ 映画に行く

❏ その他 __________

楽しい時を過ごすことは,だれにでも必要です。創造者はあなたが若い時期を楽しむことを願っておられます。(伝道の書 3:1,4)あなたの親も,あなたが楽しむことを望んでいるに違いありません。でも,親なので次のことを心配しています。(1)あなたが何をするか,(2)だれと一緒か,ということです。

では,遊びに行こうと友達から誘われたものの,親が何と言うか分からないなら,どうすればよいでしょうか。三つの方法と,それぞれの結果を考えてみましょう。

A 親に聞かないで,勝手に行く

そうしようと思う理由: 親の言いなりになっていないところを見せて,友達から認められたい。親よりも自分のほうがよく分かっていると思う。親の判断は当てにならない。―箴言 14:18

どんな結果になるか: 友達から認められるかもしれませんが,あなたが信用できない人であるという印象も与えてしまいます。親に正直でないなら友達にも平気でうそをつく,と思われるかもしれません。親も,事実を知ったら,信頼を裏切られたと感じて傷つくでしょう。あなたに何かの制限を与えるかもしれません。いずれにせよ,親に黙って出かけるのは愚かなことです。―箴言 12:15

B 親に聞かないで,誘いを断わる

そうしようと思う理由: 誘いについて考え,行くと悪いことに巻き込まれそうだ,と判断する。良くない子たちも来ると思う。(コリント第一 15:33。フィリピ 4:8)あるいは,本当は行きたいけど,親に言う勇気がない。

どんな結果になるか: 良くない誘いだと考えて行かないことにするなら,自信を持って断われるでしょう。一方,単に親に話す勇気がないために行かないなら,『自分だけ損をしている』と思って,悶々としてしまうかもしれません。

C 親に聞いてみる

そうしようと思う理由: 親の権威を認めていて,親の判断を尊重している。(コロサイ 3:20)親を愛しているので,こっそり出かけて信頼を裏切りたくはない。(箴言 10:1)自分の気持ちを伝えることもできる。

どんな結果になるか: 親は,あなたの愛と敬意を感じ取ります。そして,道理にかなっていると思えば,行くことを許してくれるでしょう。

親が「だめ」と言う理由

では,親から「だめ」と言われたら,どうすればよいでしょうか。腹が立つとしても,親の見方を理解できれば,不満をつのらせずに済むでしょう。親は次のような理由で「だめ」と言うのかもしれません。

豊富な知識と経験。海で泳ぐ時,ライフセーバーが見守っていてくれると安心なのではありませんか。泳いでいる人が危険に気づきにくいのに対して,高い所にいるライフセーバーは危ない状況を察知しやすいからです。

同じように,知識と経験の豊富な親は,あなたには見えない危険に気づいているかもしれません。ライフセーバーと同様,親もあなたから楽しみを奪おうとしているわけではありません。楽しい人生を台なしにしてしまう危険を避けられるよう,あなたを助けたいと思っているのです。

あなたへの愛情。親は,あなたを守りたいと心から願っています。なるべく「いいよ」と言いたいのですが,あなたを愛しているので,必要な時には「だめ」と言います。「してもいい?」とあなたから尋ねられると,親は『本当に許可して大丈夫だろうか』と自分自身に問いかけます。あなたに害が及ばないことを納得して初めて,「いいよ」と言うのです。

「いいよ」と言ってもらうために

四つの要素が関係しています。

正直さ: まず,正直にこう自問してみましょう。『行きたい理由は何だろう。楽しいことをしたいからだろうか。それとも友達の輪に入りたいからだろうか。好きな子が来るからだろうか』。それから,正直に親に話してください。親自身も若いころがありましたし,あなたのことをよく知っていますから,あなたの本当の動機を見抜くでしょう。親はあなたが率直に話してくれたことをうれしく思い,あなたも親の知恵から益を得られます。(箴言 7:1,2)一方,正直でないなら,信用を失うことになり,「いいよ」と言ってもらえる可能性は低くなるでしょう。

タイミング: 親が仕事から帰って来たばかりの時や,他の事柄に集中している時に,しつこく聞くのはやめましょう。親がリラックスしている時に話すようにします。でも,ぎりぎりになってから判断を迫るのは良くありません。親はよく考えてから返事をしたいと思うはずです。早めに聞けば,親はあなたの気遣いをうれしく感じるでしょう。

話す内容: あいまいな言い方は避け,何をしたいのか具体的に説明してください。質問された時に「分からない」と答えるなら,親は不安になります。特に,「だれが来るの?」,「信頼できる大人はいるの?」,「何時に終わるの?」といった質問にはきちんと答えましょう。

態度: 親を敵ではなく味方とみなしましょう。親は間違いなく子どもの味方だからです。そう考えれば,穏やかに話すことができ,親も快く聞いてくれるでしょう。注意すべき点として,「わたしのこと信用してないんでしょ」とか,「みんな行くんだよ」とか,「友達の親は行ってもいいって言ってるのに」などとは言わないようにします。親の決定を受け入れて尊重するだけの分別があることを示しましょう。そうすれば親もあなたの気持ちを尊重し,次回は,「いいよ」と言ってあげようと思うでしょう。

第2巻,32章も読んでみましょう

かぎとなる聖句

「我が子よ,賢くあって,わたしの心を歓ばせよ」。―箴言 27:11

アドバイス

何らかの集まりに行くときには,その場を去る方法を決めておきましょう。どうするか,何と言うかを,前もって考えておきます。そうすれば良心が痛まずに済むでしょう。

知っていましたか

親は,子どもを愛しているので,慎重になりすぎることがあります。あなたのしたいことがはっきり分からない,あるいは重要な情報が欠けていると感じるなら,おそらく「だめ」と言うでしょう。

やろうと思うこと

映画館や集まりで,見聞きするものに良心が痛んだら,こうする __________

この章の内容で親に聞きたいこと __________

考えてみましょう

● 判断に必要な情報の一部を親に言いたくないのであれば,それはなぜですか。

● 重要な情報を知らせずに親に許可してもらうなら,どんな結果になるかもしれませんか。

[268ページの拡大文]

“僕は本当にばかでした。『楽しそう』と思ってやったのに結局はあまり楽しくなかった,ということが何度もありました。自分の行動の結果は自分に返ってきます。親に従わなかったことを後悔しています。”― ブライアン

[269ページの図版]

親はライフセーバーのよう。危険な状況に気づきやすい